「不況」が教えてくれたこと

 去年の夏にリーマン・ブラザースの破綻に始まった、100年に1度の不況ですが、皆さんはこの不況をどのように考え、捉えていらっしゃいますでしょうか?わたくしは、会社、個人ともにつらい状況ではありますが、非常によい経験となりました。まだまだ不況は続いていくと思われますが、この不況には「ありがとう」と言いたいです。

 私は経済学者ではないので、金融システムの破綻などについてはよくわかりませんが、ビジネスを行う上で非常に大切なことを「不況」から教えてもらったと考えています。それは、

会社理念を追求し続けること

でした。

 会社理念を追求するということを説明する前に、現在、売上が好調な会社について、「なぜ好調なのか?」記述しておきたい。

 1社目は、言わずもがなのユニクロである。ユニクロの販売コンセプトは、「安い×そこそこ品がいい」だと思っている。ただ安いだけではなく、品質もいい。そこが消費者に受けているのではないか。そして、吉野家。吉野家の販売コンセプトは、「安い×うまい×早い」。吉野家が安いだけでも、うまいだけでも、早いだけでも、誰も足を運ばない。この3つの要素がうまく組み合っているから、売れる。

 そして、もう1社ご紹介したいのが、私がいつもスーツを作っている麻布テーラーだ。こちらの販売コンセプトは、「そこそこ安い×良い品質×自分専用」だと思っている。麻布テーラーのスーツは、安いものでは、3.6万から。そして、そのスーツでもそこそこ質がよい。しかも、自分でボタンの色やスーツの形を自分で選ぶことができ、自分専用スーツができるのである。そして、それが思った以上に楽しい。既製品ではなく、麻布テーラーで作ったスーツは自分が選んだ世界で1つだけのスーツなのだ。それがこの価格なのである。

 そういう意味で言うと、好調な背景にあるものは、その業界において、自分たちの存在価値(この業界で我々が提供している価値は何か?)を通じて、自分たちの存在意義(だから、我々はこの業界に存在できている)を明確にしている会社が強いと感じている。

 例えば、麻布テーラーであれば、「そこそこ安い×良い品質×自分専用」をお客さまに提供(存在価値)し、お客さまに喜んでいただけることが存在意義ではないだろうか。だから、自然と売上があがる。

 ちなみに、いつも通っている麻布テーラーの店長さんが非常に素敵な方で、家の近くの麻布テーラーではなく、わざわざ電車を乗り継いで、そこの麻布テーラーに通っている。それは、店長さんが非常に楽しそうに仕事をしており、話をしているこちらも非常に楽しいからだ。それは、キチンと会社の存在意義が世の中に認められているから、店長さんも働いていて楽しいのではないだろうか。自社の存在価値や存在意義がしっかり市場に認められれば、社員もハッピーであると思っている。社員が休みがち、うつの人が出た...という会社は、人事を責める前に自社の事業の立ち位置をしっかりまず見据えることが大切かもしれません。

 閑話休題。

 で、文字で書いてしまうと、ごく当たり前のように書いてしまうが、これが徹底できない。売上が好調だと、会社というものは残念ながら慢心してしまうのが世の常である。(自分もそうでした。反省。)ダーウィンも「種の起源」で言っているように、

強い者が生き残るのではなく、環境の変化に合わせて、変化できるものが結局強い。

ということを常に意識し、売上ではない別のものを通じて、会社を見ていかなくてはいけないのだ。

 じゃあ我々は何を判断軸に会社が正しい方向に進んでいるのか確かめるのか。それが、私は冒頭に記載した「企業理念」だと考えている。

 では、なぜ「企業理念」なのか。私は企業理念こそが、世の中に存在する価値・意義だと考えているからだ。「企業理念」をひも解くと、私は、「自社が世の中に存在するのは、こういう理由です」と言っているのが企業理念ではないだろうか。

 採用支援をしている者として感じていることで言うと、昔から採用成功する会社の特徴に「人事が会社理念を語れる」というのがある。人事が企業理念を語り、その考え方に共感する人に入社してほしいと目を輝かせて話をする会社は強いし、ぜひお手伝いしたいと思う。

 企業理念が現場まで伝わり、具体的に現場が我々は何を実現する集団なのか、理解して、行動している。

 そんな会社が弱いわけはない。

 そして、最も大切なことは、会社理念を理解するだけではなく、売上が良い、悪いではなく、常に会社理念を本気で考え、実行し続けることだ。これが前述の「慢心せずに、環境の変化に対応すること」だと考えている。

 素晴らしい会社理念を作り、共有しても、本気でそれを考え、行動しなければ、会社理念がないのと一緒だ。企業理念を忘れた会社に将来はない。しかし、実行しなければ、それはそれで意味がない。

 我々が迷った時、立ち返るものとして、企業理念を浸透させること。そして、企業理念が実現した社会はどんな状況なのかしっかり社員一人一人がイメージし、行動まで落とせること。そして、それが景気の良い悪いではなく、確実にしっかり見据えて、常に改善していること。

 それが今回私が不況から学んだ事だ。この世の中の状況を憐れんだ景気さんが怒って、景気を悪くして、世の中の方向を正そうとしてくれているのではないかとも思う。

 でも、景気さん、怒るはもうやめて、もうそろそろ景気回復させてもいいんじゃないでしょうか?笑

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矢辺卓哉(やべっち)

田舎で農業・電気通信工事士、東京で障害者雇用支援という田舎・東京を行き来する生活をしながら、エネルギーの地産地消、環境負荷の低い・企業だけに頼らない生き方を模索中。株式会社よりよく生きるプロジェクト代表取締役

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