企業に対して障害のある人が求める障害の配慮とは?

 現在、先日お伝えしたように、#s_needsを使って、Twitterで情報を集めている訳です(該当ツイート)が、企業に必要な障害の配慮とは何か?というご質問をいただいたので、これは私の経験上わかることがあるので、ここに記載していきたいと思います。

 企業が準備しなくてはいけない障害の配慮は2つあると私は考えていますが、皆さんは何だと思いますか?

 おそらくぱっと出てくるものは、人事の方もよく仰るが、バリアフリーではないでしょうか。バリアフリーとは、入っているビルの入り口に段差をなくすことや車椅子専用のトイレなど、物理的段差をなくすことです。これは、いわゆるハード面の配慮と呼ばれるもので、バリアフリー以外にも、休憩室、医務室の設置、視覚障害の方用の拡大読書機や点字、音声読み上げソフトの導入などと言われます。

 私はハード面の配慮に付け加えているのですが、短時間勤務や残業時間、通院時間の配慮、聴覚障害の方のための電話配慮もこの部類に入ると考えています。

 ほとんどの人事担当者は障害の配慮をこれまで説明してきたバリアフリーと考えがちです。しかし、これだけでは、退職者が出てしまい、障害者雇用は実はうまくいきません。

 それでは、どんな配慮が必要なのか。それを私は「周囲の理解」と考えています。

 周囲の理解とは何か。それは、「障害があったとしても、同じ社員として、仲間として認められている実感が持てる」ということです。

 ちょっと古いデータで恐縮ですが、アドバンテッジリスクマネジメント社が行った離職経験を持つ身体障がい者に聞く『退職理由のホンネ』ランキングにおけるランキングでは、

1位 職場内の人間関係に不満があった 26%
2位 仕事内容にやりがいがなかった 13%

となっています。また、退職理由として、

“自己有用感”や“キャリアアップ”への不満もランクイン

とも言われています。

 つまり、もともとどんなにバリアフリーを準備したとしても辞めちゃうんですね。(苦笑)というのも、バリアフリーというのは、実際に職場にいけばわかるものなので、物理的に入社することはほとんどない(入社したら階段があったり、引き戸しかなく、すぐ辞めちゃったという車椅子の方の例も聞いたことはありますが)。

 であれば、バリアフリーよりも大切なことは、周囲の理解なのです。周りの社員とどう関係を築くのか。同じ社員としてどう迎えられるのか。他の社員と同様に必要とされるのか。健常者と同様の自分のキャリアをどう作っていけるのかということです。

 障害者をなぜ採用するのかというと、ほとんどの企業が1.8%という雇用率があるからです。だから、真剣に障害のある人のキャリアや周りの社員との関係性について考える企業は少ないのです(ここは障害のある人自身の問題もありますがここでは割愛)。

 以上のように、私は障害の配慮とは、バリアフリーというハードの配慮の土台の上に、周囲の理解というソフト面を整備することだと考えています。

 バリアフリーだから障害者を採用できないという声を人事担当者からよく聞きました。自社ビルでもない限り、ビルを改築することは難しいでしょう。であれば、自社の現在のハードの中で採用活動するしかないのです。長年、障害者雇用に携わっている者から言わせていただくと、確かにバリアフリーであればあるほど採用しやすいですが、バリアフリーじゃなから採用できないというのは言い訳でしかありません。ですから、バリアフリーはできる限り改善をしながら、周囲の理解を整えていくことが大切なのです。

 しかし、障害者雇用に携わってこられた方は理解されると思いますが、私が簡単に「周囲の理解を整えていくことが大切です」と言っていますが、実はこれが一番難しい。

 なぜかというと、これは社風に関わってくるからです。これは統計はなく、私個人の感覚で大変恐縮ですが、人を大切にしたり、社員がイキイキしている会社は障害のある人は辞めない傾向がありますし、雇用率が高い傾向にあります(これは日本で一番大切にしたい会社やこの記事を読めばわかっていただけるでしょう)。

 また、予測でしかありませんが、これは私がお伝えしている「周囲の理解」があるからではないかと考えています。実際にユニクロがあれだけ、雇用率が高いのもまさに同じ理由ではないでしょうか。

 ですから、私は障害者雇用の本当の意義とは、障害があっても期待され、必要とされていると感じられる職場を作ること。そんな職場は、障害のある人も期待されるのですから、社員誰もが期待されるはずです。これを実現することが、障害者雇用の本当の意義ではないでしょうか。

 以上、ちょっと最後は話が逸れてしまいましたが、まとめ。

■企業に対して障害のある人が求める障害の配慮とは?
1.バリアフリーなどのハード面の配慮
2.周囲の理解というソフト面の配慮
3.一番大切なのは、周囲の理解というソフト面の配慮。だけど、それが一番大変。
4.でも、周囲の理解が実現できれば社員みんなハッピー
5.障害者雇用の本当の意義とは「4」に気づき、それを実現しようとすること

 障害のある人は、「職場のカナリア」と言われることがあるそうです。カナリアは昔、炭鉱で毒ガスの早期発見のための警報として使用されていたようです。 

 私が接する限りで言うと、障害のある人は、とても周りの環境に敏感です。それは、弱いと取られるかもしれませんが、一方で考えると、それだけ人に負担を掛ける職場であるという証左ではないでしょうか。

 ですから、障害のある人が活躍できない、長期就労できない、もしくは、障害者雇用を知っているのに採用しようとしていない職場は、どこか元気がない、社員が疲労困ぱいなどの可能性が非常に高い。

 だから、障害のある人は、うつ病もしかり、「職場のカナリア」と言われるのです。

 私は、少しでも皆さんが、障害のある人を採用する意義を感じ、障害のある人の職場環境を整えることを通じて、どんな社員もハッピーである職場を実現してほしいと考えています。

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矢辺卓哉(やべっち)

田舎で農業・電気通信工事士、東京で障害者雇用支援という田舎・東京を行き来する生活をしながら、エネルギーの地産地消、環境負荷の低い・企業だけに頼らない生き方を模索中。株式会社よりよく生きるプロジェクト代表取締役

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