障害者雇用のニュース共有と今後の展望について

私は前職は民間企業にて障害者雇用に携わっていましたが、今年5月に入り、立て続けに今後の障害者雇用において、変化が起こるであろう重要ニュースが出てきました。

■1つ目

平成24年5月15日
ハローワークを通じた障害者の就職件数、約6万件となり、過去最高
○いずれも全ての障害種別で増加しており、特に精神障害者の件数が大きく伸びている。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000029xr4.html

■2つ目

平成24年5月17日
障害者の雇用率 2%に引き上げへ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120517/k10015182441000.html

私が営業をしていた約2年前は精神障害者手帳を持っている人を採用するという声はほとんどなかったのですが、この数日のニュースで状況が変わってきた印象を受けていました。

本日たまたま前職の同僚と飲む予定があり、

・なぜ精神障害のある方の就職が増えたのか?

そして、

・雇用率が2%になることで障害者雇用がどう変わるのか?

を聞いてきましたので、私の見解を踏まえて、共有させていただきます。参考になれば幸いです。また何かご質問があればお気軽にご連絡下さい。

■精神障害者の雇用が増えた理由

 一言で言えば、身体障害のある方の採用が難しくなってきたからのようです。このデータをご覧いただければわかりますが、
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h22hakusho/zenbun/zuhyo/zuhyo2_02.html
18歳?64歳までの身体障害のある方は全体の34.6%に留まります。

 実数としては、123万人になりますが、今や身体障害の方の60%以上が65歳以上です。※精神障害の20歳−64歳は、180万人で身体障害のある方の数を上回ります。

 ここ5年くらいは、企業は身体障害を中心に採用をしてきた訳ですが、ある程度、身体障害のある方を採用し尽くして、身体障害の方の採用が限度を迎え、精神障害に目が向きがちになるのではないかとのことでした。

■雇用率が2%になることで障害者雇用はどう変わるか

 全体的には採用数が増えるであろうが、特に精神障害のある方の採用が増えるのではないか?とのことでした。

 前述のように身体障害の方の雇用が限界を迎えつつあること。そして、企業側も精神障害についての理解が深まったことが大きいようです。

 なお、身体障害のある方は、体力的に接客業は難しいのですが、精神障害のある方は、身体障害のある方に比べ、立ち仕事ができるということで、アパレル関係のバックヤードで精神障害のある方の雇用が増えているようです。

 ただし、精神障害者手帳をただ持っていれば就職できるか?というと、そういう訳でもない様です。

 人事の声からどんな方であれば採用したいと思うかも合わせて聞いてきたので、参考にして下さい。※ストレートな物言いの部分があるかも知れませんが、そこはご了承いただければ幸いです。

・一番は自己理解ができていること

 自己理解とは、例えば、自分の精神障害の原因がわかっていること。どんなときに体調不良になりやすいか理解していること。

 このようなことが人事が採用する上で安心感につながるようです。

・得意、不得意を理解していること

 障害者雇用は障害の部位を問わず、まずはルーチンの仕事が多いです。コツコツとできる人を求める傾向があります。

 精神障害を持つ人の中には「重要な仕事をしていた」という人も多いのですが、そのようなプライドを一旦捨ててもまずは、自分の得意なこと、苦手なことを理解し、ルーチンの仕事からでもスタートできるか。そして、そのような仕事を通じて、辞められたら困るという人材になれるかどうか。

 そのような信頼感が持てるような人材の印象を与えられるかどうかが大切になりそうです。

・人間関係が構築できるかどうか

 企業で働くということは、必ず何かしらの人間関係が必要になります。精神障害のある方に多いのは、非常に真面目で、"自分が正しい"と思いたい方が多い印象です。

 しかし、他人をどれだけ尊重できるか。そして、他人を尊重するだけでもなく、自分をどれだけ大切にできるか。難しいところではありますが、そのような機微のある対応ができ、他人と有益な人間関係を築くことができるかどうかが非常に重要です。

 正直、難しいとはわかっていますし、難しいからこその精神障害ということはありますが、働く上では非常に求められることであります。

 この機微のある対応ができることを人事は求めています。

・第三者機関と繋がっているかどうか

 人事としては、出勤日に出社しないというのが一番困るのです。その場合に、本人以外に相談できる場所があるか。

 そのような第三者機関と繋がっていて相談できるということが安心につながるようです。

・職場において必要とされる存在になれるか

 まぁこれを言ってしまったら、障害の有無は関係なくなりますが、一番重要なのはここではないでしょうか。得意不得意、人間関係や体調の問題も全てここに突き当たります。

 確かに「職場で必要とされる存在になれるかどうか」が難しいので精神障害というのもあります。しかし、働くということを考えると、この点が企業で働くことを考えると非常に重要となるようです。

閑話休題。

 なお、今回の雇用率が2%にアップすることに関して、障害別の割合を設定した方が良いと考えています。

 では、理想的な障害者別の割合は?とfacebookから聞かれたので、私の考え方を共有しておきます。

 理想的な障害者別の割合は、ざっくり、

 身体:知的:精神=6:2:2

 です。

 現状の採用されている方の数としての実感値は、

 身体:知的:精神=8:1:1

 です。

 理想の根拠は、

 身体障害手帳所持者で想定労働可能人数174万380人:6
 知的障害手帳所持者で想定労働可能人数51万900人:2
 精神障害手帳所持者で想定労働可能人数:47万9,710人:2

 だからです。

 詳しくは、http://nor-net.jp/archives/2011/11/-2361.htmlをご覧下さい。

 世の中で言われている障害者の割合は、

 身体:知的:精神=366.3万人:54.7万人:323.3万人
 http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h23hakusho/zenbun/pdf/h1/2_01.pdf

 ですが、このデータは調査に障害者が存在するであろう係数を掛けているので、障害者手帳を持っている人の実数として合致しているかというと怪しいんです。

 障害者雇用の算定基準は、障害者手帳を持っているかどうかですから、手帳を所持しているかどうかで見るべきだと考えているので、このように「6:2:2」と考えています。

 ただ、この手帳を取得している方の数は、平成20年のデータなので、今はデータとして変わっている可能性があります。

 しかし、最近の手帳所持者の数を出したいのですが、行政、厚労省が出してないんです。そして、このデータを集計して、計算するのがめんどくさいのです。

 今回雇用率が2%にもなりますので、時間があるときに最新の手帳保持者数のデータを集計したいと思いまーす(遠い目)。

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統合失調で入院歴をもつ、理系大卒,未就労の当事者を持つ、親です。
就労移行支援事業、就労支援センターなどの利用を検討していますが、
昔ながらの軽作業中心の発想ところだったり、逆に企業目線のところが新規参入していたり、難しいです。
「病気と共存する自己理解が 深まっている」ことが、精神障害の就労では一番大切なのではないかと私は思っていたので、このブログを拝見し、大変、勉強になりました。
鬱でリワークのかたも増えている時代でもあります。
どうしたら、当事者が自己受容をしながら、自己理解を深め、冷静に自分のストレス要因の分析にたどりつけるのでしょうか。
そういう支援の場は、あるのでしょうか。

家族にできることは、愛すること、受容すること、聴くことなのでしょうか。

user-pic

コメントありがとうございます。

コメントだけでは情報が少なく、一般論しか言えませんが、臨床心理士などのカウンセリングを受けてみてはどうでしょうか?

人は自分のことをしゃべることで自己理解につながります。ですから、ご自身が安心して気持ちを吐き出せる相手を見つけることがまず大切だと思います。

もう少し詳しい情報を頂ければアドバイスできることもあると思います。必要あれば会社の無料相談にお問い合わせ下さい。 http://yyip.co.jp/inquiry

35歳くらいまでの若い方なら障害を隠して就業してもいいとは思います。
あるいは軽いうつ病ぐらいで5年以上の職歴があり、障害年金をもらっていないなどの場合は仕事につける可能性はあります。
40歳ぐらいの人でもコンビニの店員や掃除などの仕事だったら採用される可能性は高いです。
10年以上服薬している統合失調の方の就業は極めて難しいです。すぐ疲れてしまうし妄想などでいきなり仕事をやめたりするからです。
あるいはきちんと社会保険に加入する正社員や契約社員といった本当の就職は少なくとも「統合失調症」の方は不可能でしょう。
アルバイトやパートですら難しいと思います。
ただ常識からいえば「精神障害者に仕事などできるわけがない」という考えも事実です。あるいは仕事ができる精神障害者は少ないです。
しかるべき障害者就労訓練機関等で訓練を受け企業に就職している人もいます。この場合は年齢が若いことや病気でも能力がある人です。
つまり自分で病気が治せるくらいの自己管理ができていないと精神障害者にとって一般社会での就業は大変困難に満ちているということです。

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矢辺卓哉(やべっち)

田舎で農業・電気通信工事士、東京で障害者雇用支援という田舎・東京を行き来する生活をしながら、エネルギーの地産地消、環境負荷の低い・企業だけに頼らない生き方を模索中。株式会社よりよく生きるプロジェクト代表取締役

「人生を味わいつくせる人を増やす」がミッション。

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