デンマークの社会福祉-その3

 デンマークの社会福祉についての第3弾をお伝えします。

 成人の場合は、普通18歳から23歳頃の間に親離れをするので障害がある成人も施設入所を避け、グループホーム、ペンション、アパートといったところに居住すべきである。子どもと居住地を別にするということは子離れをするということで、親のためにも必要なことである。障害ゆえ完全自立が不可能であるため、必要な時点に生活指導員が派遣できるような支援センターを、障害がある人が点在する半径約5キロメール以内のところに設置し、障害のある人の生活支援を実施する。また、障害のある人当事者が雇用者となってヘルパーを採用し、在宅を可能にしている方法もある。

 日本では、施設を避け、親もとを離れ、生活して行くという支援が十分ではなく、自立した生活が送れていないというのが、実情であろう。それにしても、半径五キロメートル以内に支援センターがあるとは、デンマークは素晴らしい。

 成人の日課は、職場に行くことであるので、障害がある人も可能な限り職場に行くべきであるが、デンマークには社員の何パーセントかは、障害のある人を雇わなくてはならないといった決まりはない。なぜなら障害のある人の経済的、物質的な面は国が支給する年金で十分に「健康的で文化的な生活を営む」ことができるからである。したがって、生きがいとしての職場として授産施設が十分に完備しており、大部分の障害のある人が授産施設で働いているのである。障害が重いため授産施設にいけない人のためには、デイセンター、デイホームがあり、デイセンターは趣味、娯楽を主体にした日常生活訓練がなされ、デイホームでは際重度の人たちのための感覚訓練などが主として行なわれる。

 日本では、障害があると自立した生活が送れないと考えられがちであるが、デンマークでは施設、親もとを離れ、年金で経済的にも物質的にも十分な生活ができるのである。そして、生きがいとして授産施設がある。つまり、デンマークでは障害があると、こういう生活を送るというロールモデルがしっかり形成されている。それというのは、非常に重要なことで、親の側からしても、自分の子どもが障害があろうが、上記のような素晴らしい生活が送ることが可能という風にわかっているから、自分の子どもに障害があろうがショックではないのではないだろうか?

 一方の日本であるが、子どもに障害があるとわかったらどうであろうか?とたんに、ショックを受けて、なぜ他の子どもは楽しそうなのに、自分の子どもだけ・・・となるのが今の日本ではないだろうか?それというのは、日本に障害がある人、子どもがどういう生活を送っているというロールモデルや活躍している例が非常に知られていないということがあるし、現状の日本の制度では、デンマークのような素晴らしい支援がないし、ショックを受けるのはしょうがないというのはある。

 しかし、しょうがないとは言っていられないし、我々の日本である。他人の芝は青いというし、日本独自の日本にしかできない、障害のある人が活躍するロールモデルをどんどん作っていくということが、我々に与えられた課題であると最近、特に思う。

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