企業、ビジネスマンが言うアジア進出への違和感

 もっぱらアジアがブームである。大手メーカーをはじめとする企業はもちろんのこと、ビジネスマンと話をしていると、これからはアジアだ!とか上海だ!とか言う人が増えてます。

 これらの方々がアジア進出と考える背景には、縮小する日本市場への懸念と、アジア地域の人口増を起点とする経済成長が見込めるという理由があります。

 「人が増える⇒経済が成長する=消費者が増える」という構造なわけです。

 まぁわからんでもないのですが、こんな話を聞くたびに私は思うのです。アジアに進出しただけで、あなたの事業の問題解決になるのですか?と。

 どういうことかと言うと、本来事業とは、必要な人に必要なもの・サービスを届けること。消費を促すためではないはずです。現在もしその事業が立ちいかないのであれば、それは必要とされていないからではないでしょうか。

 その考え方から言うと、声高にアジア進出をうたう人々は、自社のサービス価値を考えているのでしょうか?思考停止に陥っていないでしょうか?

 アジアが成熟するのはおそらく、何十年と掛るでしょう。でも、じゃあアジアが日本のようにアジア経済が成熟したら、次はどうする?アフリカ?じゃあアフリカが成熟したら?今度は宇宙??

 我々は、きりのない消費スパイラルとそのための経済成長から抜け出さなくてはいけないのです。消費することだけが幸せではないのです。人間は、そもそも褒められたり、誰かとつながるだけで本当は幸せになれるのです。

 だから、必要とされているかどうか確認することが大切です。今利益が上がっていないのであれば、必要とされていないか、無駄が多いかのどちらかでしょう。利益が上がっていないことを、経済成長する土壌にすり替えても、結局、本質的な問題解決にはなっていません。

 それなのに、アジア進出をうたうのは、自分たちの能力不足の問題をすり替えているように私には見えるのです。

 ですから、自分たちの事業が本当に必要とされているのか?消費を押し付けていないか?そして、無理無駄ムラはないか確認すること。その上で、明確な目的があって、アジア進出なら、私は賛成です。しかし、多くの企業やビジネスマンはそこまで考えていない気がします。

 そして、環境問題もあります。今の消費のスパイラルの考えのまま、経済発展するからと言って、アジアに進出する。それは、消費を促すことになります。消費をすれば、ゴミが出ます。アジアに日本の消費スパイラルの考え方を持ち込むことで、アジア全体が消費スパイラルに陥ることになります。そうすれば、ゴミが必要以上に増えることになります。

 実際に、私たちは年間 5800万トンの食糧を輸入しながら、その3分の1(1940万トン)を捨てています。こんな日本の価値観をアジアに持ち込むことが本当に良いことでしょうか。

 だからこそ、「経済成長する」という理由だけでアジア進出を考えることだけは止めていただきたい。アジア進出を考える前に、「消費を押し付けていないか」を考えてほしいのです。

 それが私がアジア進出への違和感なのです。

 ということで、今日のまとめ。

 ■企業、ビジネスマンが言うアジア進出への違和感
 1.事業とは必要とされる人に必要なものを届けること
 2.今の事業は、消費の押し付けになっていないか?無駄はないか?
 3.2を考えていなければ、アジア進出しても事業の問題解決にはならない
 3.2をクリアした上で、進出するのであれば明確な目的を持つ

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