発達障害者就労支援研究会へ参加した感想を少し

 今日はお昼に、就労支援推進ネットワークさんが開催された、発達障害者就労支援研究会へ参加して参りました。たまには、ちゃんと障害者雇用のことも書こうかなと。(笑)

 講演は、大東コーポレートサービスという大東建託社の特例子会社で代表をされていらっしゃる山崎さんという方でした。正直、特例子会社で障害者の方がイキイキ働くという事例を聞いたことがなかったのですが、少し疑心暗鬼だったのですが、最後は素晴らしいと唸ってしまいました。

 講演の内容を書く前に、少し大東コーポレートサービスについて記載していきたいと思います。

 大東コーポレートサービス(以下、dcsとさせていただきます)は、大東建託の特例子会社で、社員63名のうち、43名が障害のある方です。その取り組みは社内外で高い評価を受け、平成19年と21年に厚労省より「障害者雇用職場改善好事例」として表彰を受けています。(より詳しいこれまでの経緯ややっていらっしゃることはこちらをご覧いただければよくわかると思います)。

 本日は、発達障害者の就労支援という趣旨でしたが、特に発達障害の方がどうのこうの、という話は少なかったです。というのも、実はdcsは、特に障害の部位について考えていないのです。障害の部位について考えることは、逆にそのグループを作ることになる。だから、本人の「働きたい」という気持ちを尊重し、実習を通じてその人となりを判断して、一緒に働けると思えれば採用をするとのことでした。

 そして、何よりもこの特例子会社が表彰されるなど、成功しているのは、山崎さんの存在なくしては考えられなかったのではないかと感じました。それは、山崎さんの経営センスと人に対する思いです。

 講演の中であった話では、「いい仕事をしたかったら、いい機械を入れる」。その信念の元、何千万、何億という機械を導入したそうです。そのために、中長期計画を策定し、本社大東建託にしっかり納得してもらい、それを着実に実行し続けた。そして、現場ではミスをしない仕組み作りと社員のいい所探しを実践。この循環が社内外の信頼関係を作ってきたのでしょう。dcsスタート時には、親会社大東建託やグループ各社から仕事をお願いして仕事を集めていたのが、今は仕事を集めなくても集まってくるのは、この信頼関係からでしょう。

 この事例から、山崎さんの経営能力と人に対する暖かさ、諦めない気持ちを感じ、本気であればどんなことも実現するんだ、と思いました。

 また、継続雇用を実現するために、4段階を活かした就労支援という考え方を教えていただきました。それは、「1段階:希望 2段階:エンパワメント 3段階:自己責任 4段階:生活の中で有意義な役割」。

 1段階の希望とは、私は「人を諦めない」という風に受け止めました。具体的に行っていらっしゃることは、病名や能力で判断せず、本人の「働きたい」という希望を尊重すること。そして、パソコンスキルがなくても不採用とせず、パソコン操作の得意な社員から教える仕組み作りをするとのこと。

 2段階のエンパワメントとは、社員に様々な不足があっても、諦めずに新しいことに挑戦することを励まし、支援すること。具体的には、短時間勤務からスタートし、状況にあわせ、長時間勤務へ変更すること。職場でのコミュニケーション改善のため、SST(ソーシャルスキルズトレーニング)を実行する、など。ちょっと話がそれてしまいますが、このSTTというものをはじめて知りましたが、とても有意義なものだと思いました。

 3段階の自己責任とは、自分の職場を自分のことと捉え、改善しようとすること。具体的には、dcsで行っていることは、社員に課内ミーティングの司会と書記を担当することで、自分が働く環境がもっと良くなるように真剣に考える。そして、意見が活発になると、お互いの距離が縮まり、相手を思いやる気持ちが芽生えるとのこと。

 最後、4段階の生活の中での有意義な役割とは、仕事を通じて頼られている、達成感や充実感を感じることで、自信を自分自身で表現できるようになること。

 以上が継続雇用を実現するための就労支援の考え方とのことでしたが、この考えって、別に障害のある人だけに必要なことじゃないと思うんです。日本理化学工業の大山会長も働く喜びとは、「人に愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること」と言っています。この4つの支援はまさにこれを体現していると思いました。

 ぜひこのような考え方はまったく私も同じであるし、広めていきたいと思いました。その思いから山崎さんも今回のような講演を多くやっていらっしゃるようでしたし、見学や現場実習もなるべく多く受け入れられていらっしゃるようです。本当に頭が下がる思いでした。

 ぜひ一緒にできることがあれば、一緒に何かやらせていただきたいと思いました。

仕事を作れないと嘆いている障害者雇用を行っている人事担当者さんへ追伸:
 山崎さん曰く、「社内を見回りながら、残業してる部署、派遣社員がやってる仕事、外部に出してる仕事を見つける。仕事がないはずはないのです。仕事は細分化すれば誰でもできる」。本気ってこういう事だと思うんです。脱帽です。

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