このテーマで書こう書こうと思っていましたが、遅くなりました。すみません。書こうと思ったきっかけは会社で全く同じことを考えていた人がいて、嬉しくなったからです。(苦笑)なので、この調子にのって、障害者雇用を解決する本当の方法を書いていきます。
新卒で今の会社に入社してから、障害者雇用に関わって丸5年。今から書くことは、その中で感じている違和感を全て解消するものであり、本質であると考えています。
それでは本題に入っていきたいのですが、その前に前提として、皆さんに知っておいてほしいことがあります。それは、「企業とは何か?」「障害者とは何か?」ということです。
その「企業とは何か?」「障害者とは何か?」ということについては実は以前、以前も「平成21年度 障害者の職業紹介状況等からみる精神障害者の採用数が増えた理由」という記事でご紹介しています。
この記事で言いたかったことは、企業の事業をする目的は「利益を出すこと」。そして、障害者は働く上では配慮という「安全」を求めていること。そもそも働く上で、企業と障害者の目的の違いがあることです。
もっと整理してお伝えすると、企業は「効率」を求めている。しかし、障害者は配慮が必要なので、「効率」という概念からは程遠い存在であるということです。
このそもそもの根本が違うことが障害者雇用では不幸を作り出しています。
具体的には、早期退職。具体的によく言われることをストレートに表現すると、「思った以上にPCスキルがなかった」「思っていたより仕事ができなかった」など。
また、ある特定の障害部位の人はそもそも採用されにくいということもある。例えば、精神障害の手帳を持っている人は、当日体調がどうなるかわからないので、仕事を任せられない。そして、知的障害、重度の障害者は言わずもがな。
そして、今問題になりつつある、うつ病の問題。これは手帳を取らないケースもあるが、人として真っ当な活動をしていれば、うつ病になるはずはない。うつ病になった知人に聞いたが、ありえない量の仕事を振られ、誰に感謝されているかわからない仕事をやり続けることで、発症したと聞いた。
これらの問題は全て企業が「効率」を求める存在であることの証左ではないだろうか。これらによって、自信をなくした障害のある人を多く見てきた。私は、そもそも根本が違うものなので、今の状態であれば、障害のある人を企業で働かせること自体がナンセンスであると考えている。
しかし、エクスキューズしておくと、企業が「効率」を求めてきたことは、企業のせいではないと考えている。このブログの記事の中でも、「新しい価値観の世の中へ – 人をベースにした企業活動を -」や「企業、ビジネスマンが言うアジア進出への違和感」にも書いていますが、日本全体が強欲資本主義、つまり、いかに消費をさせるか?ということが企業文化の中で、メインに考えられてきたのです。これは、グローバル化という流れの中、日本全体が日本人としての良さを忘れてしまったことが原因だと考えています。
まぁそれはさておき、そもそも根本が違う存在同士を同じ環境で働かせること自体が私はナンセンスだと書いた。じゃあこれからはどうするのか。私は2つ案がある。1つは、人・信頼をベースにした企業活動をすること。そして、もうひとつは、ベーシックインカム(国民配当)の実施です。
1つ目から説明していこう。人・信頼をベースにした企業活動とは、もうすでに「新しい価値観の世の中へ – 人をベースにした企業活動を -」で書いていることです。つまり、効率や売上、人はコストという考え方ではなく、いかに信頼関係を作れるか。人の働く幸せに企業として貢献できるのか?という考え方で経営をすることです。
例えば、ご存知日本理化学工業。彼らは、知的障害者を社員の7割採用している。詳しくはこちらのブログを見てほしいと思いますが、大山会長はこう言っています。
知的障害者は、人の幸せとは働くことなのだと私に気づかせてくれた。企業はもうけることも大事だが、人に働く喜びを与えられることが大きい
このような会社で社員が心意気を感じない訳がない。社員は持っている力以上のものを発揮しようとするでしょう。社員はコストではないのです。社員は「人」なのです。
そして、ユニクロ。会長の柳井さんが言っていることは、明確です。
障害者がいる店舗の方が障害者がいない店舗より売上が高い。それは、障害者が仲間にいることで、みんなが彼・彼女をサポートしようとする。そうするとお客さんの困った点に気づくことができる。
障害者は短期的には利益をもたらさないかも知れない。効率は悪いかもしれない。でも、中長期的には必ずリターンがあると考えているのです。
最後にご紹介したいのは、ライブレボリューションという会社。この会社は、「宇宙一愛される経営」を目指して、経営している会社である。営業はノルマなし。しかし、売上は右肩上がりで上がっている。この会社も「効率」ではなく、いかにお客様に感動を与えられるか。そんなことを考えていると、「永久に取引したい」(PDFファイルです)と言われるのです。
つまり、企業の考え方を「効率」から「人」「信頼」へとシフトするのです。これは、障害のある社員だけが利益を被るわけではないのです。誰もがハッピーになれるのです。
ですから、このような考えを持った企業を増やすことが必要なのです。自分もそのためにできることは色々やっていきたいと思っていますが、それを推奨してくれる人たちも増えてきました。例えば、株式会社シェアードバリュー・コーポレーションの小林さんやブライトサイドの武田さんなどです。彼らは、社員が輝き、売上を上げるために、経営理念をいかに浸透させるかを考えています。
このような企業は、活動目的が利益や効率を上げるためではないので、障害のある人もぐっと働きやすくなるはずです。このような会社を増やすのです。そうすれば、自然と障害のある人も働けるでしょう。
そして、2つ目のベーシックインカム(国民配当)についてです。企業と障害のある人が一緒に働けないのであれば、別に活躍の場があればいいのです。そのために、生きていけるだけの一定の金額を国として全国民に国民の権利として支給するのです(国民配当の話をするとそれだけで長くなるので、詳しくはこちらをご覧ください)。
今の日本の大きな労働問題は、「会社=人生」になっていることです。そして、これから派生して、「稼ぐこと=人生」となっている人もいます。人生は、稼ぐことだけでも、会社だけでもありません。ま
ずは、自分らしくいられるコミュニティがあることが絶対です。
ですから、ベースの生活として国民配当があり、自分が活躍できる、自分らしくいられるコミュニティで、自分なりの能力を発揮し、少しでもいいので世の中に価値を提供して、小額でもいいのでお金を稼げばいいのです。会社、稼ぐことだけが人生の全てではないのです。
ちなみに、これも障害のある人だけではなく、誰もがハッピーになる方法です。ご存知のように、稼ぐことより自分らしくありたい人も現代では非常に多いと思っていますし、自分もその1人です。もちろん稼ぎたい人は稼げばいいと思います。大切なことは自分らしくいられるかどうかなのです。
このように、ベーシックインカム(国民配当)をベースに、自分らしくいられるコミュニティで、自分ができる範囲で価値発揮して、その対価としてお金をもらえれば、障害のある人も誰もが生きやすい日本になると思うのです。
以上、2つが私が考える、障害者雇用を解決する本当の方法です。そもそも雇用にはなっていないという声も聞こえてきそうですが(苦笑)、前述のように企業と障害のある人は相反する存在なのです。そもそも、同じ存在であれば雇用率がなくても採用されるでしょう。
また、これは障害のない人にも素晴らしい会社となります。人として大切にされ、コストではなく、期待を掛けられる。そんな会社であれば、誰もが能力発揮したいと思うでしょう。
そして、国民配当は、障害のある人だけではなく、日本全体に必要だと考えています。今、我々の大人の人生価値観は、会社、働くこと、稼ぐこと、と考えている人が大半です。そもそもその価値観にマッチしている人は問題ないでしょう。しかし、現代は価値観が多様化しています。大人になることが、会社、働くこと、稼ぐことしかないと、それ以外の人は、働くことではなく、ニートを選んでしまうのです。私はニートやフリーターが増えた理由もここだと思っています。
そして、本当にやりたいことをやっているときに人は輝きます。しかし、会社、働くこと、稼ぐことだけが世の中の価値観になっているから、大人が子供の時の純粋さを忘れてしまうのです。だから、大人が子供に希望を見せられないのです。
以上のように、本当に雇用だけでは、障害のある人の雇用の問題は解決しないのです。そして、この解決策は、全日本国民に必要な考え方だと考えています。私は、この2つの解決策を考えながら、今後、仕事に取り組みたいと考えています。
ということで、今日のまとめ。
■障害者雇用を解決する本当の方法
1.現状、企業と障害のある人は相反するもの。無理やり働かせるのはナンセンス
2.【解決策1】効率・利益ではなく、人・信頼をベースとする企業を増やす
3.【解決策2】自分らしくいられるコミュニティで、自分なりに価値を発揮して、
対価をもらえる世の中を実現するために、国民配当を実現する
4.この2つの解決策は、障害のある人だけではなく、誰もがハッピー
ちなみに、ベーシックインカム(国民配当)は無理な話ではありません。銀行を本来の業務に戻し、利子をなくせば実現可能です。詳しくは上記と同じですが、「生きるための経済」― なぜ、所得保証と信用の社会化が必要か ―をぜひご覧ください。目からうろこが落ちます。