毎年11月の恒例ですが、11月14日に平成24年6月1日現在の障害者雇用状況が発表になりましたので、共有いたします。去年の結果はこちらです。
今年のポイントは、
・雇用障害者数は 38万2,363.5人と前年より4.4%(16,164.5人)増加。
・実雇用率は 1.69%(前年比0.04ポイント上昇)。
・法定雇用率達成企業の割合は 46.8%(前年比1.5ポイント上昇)
だそうです。
昨年、短時間労働者の雇用率算定、除外率の引き下げにより、雇用率が下がりましたが、前年度より前に戻ったという感じでしょうか。
ということで、私が思うことを記載していきます。
これは毎年伝えていることですが、38万2,363.5人というのは、重度障害者を1人採用しても2ポイント、短時間勤務者を1人採用しても0.5ポイントとして計算しています。ですから、人数ベースではありません。ですから、私はこの38万はポイントだと思っています。
ということで、実際の人数ベースでどれくらい障害のある方が雇用されているか見てみましょう。
・企業においての雇用人数:29万8,452人(昨年対比+1万5,885人)
厚生労働省が発表している38万2,363.5ポイントと比べると、約8万4000ほどの違いがあります。
・企業と国の機関や独立行政法人を含めた全体の雇用人数:35万6,035人(昨年対比+2万7,956人)
厚生労働省の45万9,149ポイントと比べると、約10万ほど違いになります。
ただ、昨年の純増数(2010年から2011年に採用された方の純増差)は、
・企業の雇用数:2万6,605人増
・企業と国の機関や独立行政法人を含めた全体の雇用数:3万886人増
でしたが、今年の純増数は前述の通り、
・企業の雇用数:1万5,885人増
・企業と国の機関や独立行政法人を含めた全体の雇用数:2万7,956人
です。つまり、企業では約1万人、全体でも約2,000人、雇用数が純減しています。
障害別に純増数を見てみましょう。
<2010年から2011年>
・身体障害:1万6,362人増
・知的障害:1万348人増
・精神障害:4,176人増
<2011年から2012年>
・身体障害:6,284人増(前年比:-1万78人)
・知的障害:7,071人増(前年比:-3,277人)
・精神障害:5,065人増(前年比:+889人)
精神障害のみ、かろうじてプラスに転じていますが、他の障害に関しては、雇用数は純減しています。つまり、企業も含めて、全体的に社会で人を雇用する力が減っているのでしょう。まぁよく言われていることですが。
また、身体障害の人の雇用は、前から言われていることでしたが、だいぶ採用が難しくなっているのでしょう。1万人も雇用数が減っているのは、企業が採用したくないのではなくて、採用市場において、企業が採用したいと思える身体障害のある人がいないことが想定されます。
そして、知的障害は、2011年から2012年は、3200人雇用人数は減っていますが、後で述べるように、そもそもの手帳発行数の母数が身体障害とは違う(510万と83万)ですから、少しの数字でもインパクトが変わってきます。これも後で述べますが、知的障害の雇用率は、4.89%増(他の障害は1%も増えていないのに※1参照)となっています。これは、知的障害の手帳発行数は大きく増えていないが雇用数が増えているため、雇用率が高まっていることが想定されます。
そして、精神障害については、手帳発行数が大幅に増えているため、雇用数が増えても、雇用率が高まらない(昨年対比+0.84%増※2参照)結果になっています。
このように、身体の人の雇用が厳しくなってきているので、特に知的障害、そして、精神障害のある人を何とか雇用する動きが出てきていると考えても良いかも知れません。
そして、毎年恒例、今年も障害のある人の中でどれくらいの割合の人が働けているのかを明らかにしてみます。
手帳を取得している方の数(平成22年データ・最新データにアップデートしました!)は、下記の通りです。
■全国の各障害で手帳発行されている方の数(平成21年との対比)
身体障害:510万9,282人(+1,335人)
知的障害:83万2,973人(+1万6,425人)
精神障害:80万8,246人(+3万587人)
※精神障害の手帳発行数が特に増えており、平成23年データでは、精神障害手帳発行数が知的障害手帳発行数を超えそうです。
そして、雇用実態調査によると、各障害毎の労働可能年齢である18〜64歳(精神障害は20〜64歳)の割合は下記になります。
・身体障害 34.6%
・知的障害 65.5%
・精神障害 62.3%
ということは、手帳を発行されている方で労働可能であろう人の数は、下記の通りです。
身体障害:510.9万人 ×34.6% =身体障害で想定労働可能人数:176万7,812人
知的障害:83.2万人 ×65.5% =知的障害で想定労働可能人数:54万5,597人
精神障害:80.8万人 ×62.3% =精神障害で想定労働可能人数:50万3,537人
想定労働可能人数計:281万6,946人
これを今働いている人の数で割ると手帳所持者に対して働いている人の割合が出ますよね。
想定労働可能人数:281万6,946人
全障害の雇用者数:35万6,035人 就業率:12.64%(昨年対比+0.28%増)
身体障害の想定労働可能人数:176万7,812人
雇用者数:26万1,474人 就業率:14.79%(昨年対比+0.13%増)
知的障害の想定労働可能人数:54万5,597人
雇用者数:7万2,303人 就業率:13.25%(昨年対比+4.89%増)※1
精神障害の想定労働可能人数:50万3,537人
雇用者数:2万2,258人 就業率:4.42%(昨年対比+0.84%増)※2
これは毎年言っていることですが、就職数が増えたとはいえ、まだまだ障害のある人の就業率は低いと言わざるを得ません。もちろん全ての障害のある人が雇用を望んでいる訳ではありませんので、一概には言えませんが。
そして、そろそろ身体障害については、そろそろ限界かも知れません。雇用するだけではなく、定着・活躍、社内の評価に目線が移っていくことを検討する必要があります。この辺は会社で仕事にしますので、お楽しみに。
ということで、まとめです。
■厚生労働省 平成24年6月1日現在の障害者雇用状況の集計結果からみえること
・厚生労働省が発表しているのは、38万2,363.5ポイントで実際の雇用数は、29万8,452人
・雇用率は高まっている
・一方、各障害の雇用数の純増数をみると陰りが出ている
・その中でも、知的障害(就業率)、精神障害(雇用数)が増えている(身体障害の採用の限界?)