ユニバーサルデザインに見るNPO論

 今日(もはや昨日)は、ユニバーサルデザイン生活者ネットワーク(以下、UD生活者ネット)が開催するNPOと企業のユニバーサルデザイン(以下、UD)コラボレーション(以下、コラボ)実践報告会に参加しました。そこでは、UDが何か?という議論よりもNPOと企業のコラボについての会でした。はっきり言って、おもしろかった。自分は、UDについて知りたいなぁと思っていたけど、それにもましておもしろかった。

 この報告会に参加して、ぼくが感じたNPO論をお話したいと思う。その前に、この報告会でお世話になっているコムケアの佐藤修さんの今報告会のまとめを書いておきたいと思う。

【NPO】
・消費者という実体のないものがNPOを使ってカタチを持ち始めた。つまり、消費者と企業との間にNPOというものが入ることにより、消費者というものが鮮明になったということである。(詳細は後で。)

・NPOが企業、行政を使って、情報発信をおこないだした。この事例のように、NPOと企業がコラボすることによりNPOが上手に情報発信をしだすようになった。

【企業】
・消費者視点に立つことができるようになった。これは、説明はいらないかと。お客様は神様精神です。
・NPOに対して刺激を与えている。つまり、今ある9割のNPOが非営利組織ということで、組織、お金のマネジメントに対して真剣に考えていない。そのようなNPOが多い中で、マネジメントのプロが関わることによりNPOに対して、今よい刺激を与えているとのこと。(詳細は後ほど。)確かに、UD生活者ネットの事務局長の大矢野氏は、真剣に組織のマネジメントに関して、お話しておられた。企業と関わることにより、よい影響をもらったのだろう。

 以上を踏まえてお話します。今までの企業と消費者の関係とは、

企業<消費者

つまり、お客様は神様精神ですね。しかし、一方で、

企業の技術>消費者

な訳です。つまり、お客様は神様って言ったって、こっちは技術を持っているんだ!文句あるならお前が作ってみろ!作る側の気持ちを考えてみろ!という考えがあるのです。この

企業<消費者
企業の技術>消費者

の相容れない論理がお互いの溝を作ってしまっていたように思います。この溝の間の橋渡しに今回のような事例のNPOが入ってきているのです。今回の事例は、UD生活者ネットがUDというコンセプトの元、消費者のニーズを汲み取りトステム株式会社にそのニーズを分析し、提供するという至って普通のことでした。

 しかし、なぜトステム株式会社はNPOに任せたのか?なぜ、一般のマーケティング会社ではなく、NPOと事業をコラボしようと思ったのか?それは、NPOが『志』という専門性を持っているからです。その『志』は、一般のマーケティング会社では、持ちえていないものなのです。そもそも、NPOとは利益は追求しないが、社会問題を事業によって解決するという法人です。一般のマーケティング会社には、その「社会問題を解決する」という『志』は持っていないのです。

 今まで、企業側としても消費者の声を聞きたいという思いはあったでしょう。しかし、それがなぜできなかったのか?それは、

企業<消費者

という概念がお互いに強すぎて、クレームも本来消費者の使い方が悪かった場合でも、企業のせいになるのです。つまり、

企業<消費者

である限り、お互いが対等に本音で話をすることが不可能だったのです。そこにNPOという企業と対等と話ができる法人が関わるようになりました。つまり、「企業<消費者」から、「企業=消費者」の代弁者への移行です。(これが【NPO】の・消費者という実体のないものがNPOを使ってカタチを持ち始めた。に当てはまります。)

 それはなぜ可能になったのか?それは、NPOが法人であるからです。企業側もNPOが法人であるから対等に話をすることができる。この論理は、BtoBのやり取りとイメージしてもらってもよいでしょう。NPOが法人格で事業としてこの仕事をやっている以上、仕事をきちっとやって下さい。という企業側からのマネジメントに対するアプローチも可能だったわけです。(これは、【企業】・NPOに対して刺激を与えている。に当てはまります。)つまり、まとめると、

■ 社会問題を解決するという『志』を持っており、本当の消費者の代弁者になることが可能であり、それを企業側は求めている。
■ 単なる消費者の代弁者ではなく、法人格であることによるマネジメントの可能性が企業との対等な関係を作り出している。

 これが、今回感じたNPO論です。もっと色んなことを感じた(NPOは個人が際立っているがゆえにマネジメントしにくいとか、企業は個人が埋没しているとか。)のですが、今回はこの辺で。たまには、ノーマライゼーションだけではなく、こういう勉強っぽいのもいいのではないかと。(笑)

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