日本企業、ビジネスマンに巣くう悪しきもの

 会社ではスケジュール管理にビジネスgooを使っている。同じグループなのか、ニュースの欄に日経ビジネスオンラインの記事がよく目に入るので、時間があれば読んでいる。

 ちなみに、日経ビジネスオンラインは、かなり本質に迫る記事が多く、最先端のビジネス知識、マインドを得ることができる、しかも無料で。しかも、記事それぞれにコメントが書けるようになっており、著者と双方向でコミュニケーションを取ろうとしている姿勢がある。ネットのよさを使って最先端のことに挑戦しようという試みが見えることが素晴らしい。無料で、本質なよい記事が読めて、いい時代になったなぁと思っている。

 そんな日経ビジネスオンラインだが、気になった記事があったので、トラックバックすると共に、自分の見解を述べておきたい。なぜその記事が気になったのか。それは、この記事が伝えていること、そして、そのコメントが日本企業や日本のビジネスマンに巣くう悪しき考えだと思うからだ。

 そして、その記事とは、「社長の偽善、社員の諦念」だ。

 この記事はぜひ読んでいただきたいのだが、総じて書いてあることをまとめると以下のようになる。

 人間には、「自分のやりたいことを貫き通して生きる」個人志向性と、「周囲との関係の中に自分らしさ」を求めようとする社会志向性の2軸がある。個人志向には自己があり、社会志向には、自己はない。

 人生で大切なことは、周りと折り合いをつけて自己を見出すこと。周りと折り合いをつけることだけで生きていくこととは違う。しかし、現在のビジネスマンは、何かの理由で、「周りと折り合いをつけること」を求められる。それにより、自分を守ろうとし、苦痛から逃げることを、本記事では「俺には関係ないから」という表現を使っている。

 「俺には関係ない」をなくすためには、仕事の意思決定への参加機会を経験することが大切だが、下記2点が理由で、その機会を設けてもうまくいっていない企業が多い。
 1.自分の伝えたいことを論理だって伝えられないし、そんなスキルは簡単に身につかない
 2.中間管理職に任せておけばいいという思い込み

 しかし、「俺には関係ない」と「丸く」なる前に、「俺に関係あること」を探し、みんなの意思を問うことで会社動かしてほしい。

 以上がざっくりとした、著者の主張である。うむ、素晴らしい。それでは、コメントを見ていこう。一番気になったコメントは、このコメントだ。

うちの会社も典型的なワンマン経営です。意見を出しても、否定されるか黙殺。(中略)しかし、もう年齢的に転職は難しくなり、転職するための気力もなくなっている現在、不満あれどそこそこ収入の得られる現状に妥協する道を選びます。

 私は、このコメントを読んで、非常に残念になった。なぜか。それは、妥協をしているからだ。私は「仕事は楽しく行いたいし、そうあるべき」と考えている。大人が楽しく仕事をすることで、子供も働くことを素晴らしいことだと感じ、働くことを通じて世の中に貢献できるようになる、という信念があるからだ。

 ほとんどの子供は、いつかは大人になり、1日の時間の大多数を使い、何かしらの形で働くことで世の中に貢献する。その時間は人生のほとんどを占めるといっても過言ではない。しかし、その「働くということ」を今の大人が妥協していては、残念ながら子供は働くことに夢は持てないだろう。

 今の日本ではそのようなことが色んなところで起こっていると思う。では、なぜこのようなことが起こってしまうのか。もちろん、企業の社長も悪い。他人を悪く言うことは簡単で、自分が諦めてしまったことを他人や環境のせいにすることは簡単だ。

 しかし、人生で大切なこととは、自分の人生の主人公は自分であり、人生は選択の連続であることを認識すること。そして、自分の道は自分で切り開くと考え、「どんな結果が出ても絶対に公開しない」と決めて判断するという、自己責任の本当の意味を知ることだ。

 このコメントを書いた人は、きっと人生の選択の瞬間に何も考えずにのほほんと暮らしてきたか、他人に判断を委ねていたのだろう。しかし、このコメント書いた方の年代は、きっと働けば右肩成長するという価値観で育ってきた世代だと思いたい。そして、きっと最初は思いを持っていたと思いたい。そういう意味では、企業や世の中の価値観が悪かったかもしれない。

 しかし、しかしです。やっぱり自分の人生は自分が決める。今あなたが転職できず、満足いく職場を選べなかった、もしくは作り出せなかったのはあなたの責任なのです。

 「上司が部下の発言を理解するのに7回伝える必要がある」と聞いたことがあります。そういう意味で言うと、否定されるか黙殺されるのは当たり前。それをどうやって伝え、共感してもらい、理解してもらうかがあなたの力の見せ所なのです。

 「相手が自分のことをわかってくれるだろう」という考えからスタートするから伝わらず、共感されず、理解されない。「全く自分のことを理解していない相手がどうやったら理解してくれるか」という前提に立ち話を考えること。

 「自分の人生を作り出すのは自分」という信念を持っていれば、「全く自分のことを理解していない相手がどうやったら理解してくれるか」という前提に立つことはできると思う。一人でも多くの日本人ビジネスマンが「自分の人生を作り出すことは自分」と考えて行動してほしい。

 私は小さい頃からずっと父親に言われていたことがある。

がんばっていれば、必ず誰かが見てくれている。だから、絶対に諦めるな。

 全ての日本人ビジネスマンがそのような気持ちで働いてほしいと思っている。そして、あなたの周りに少しでも「自分の人生を作り出すのは自分」という信念を持って、思いをもって、職場に働きかけている人がいたら、助けてあげてほしい。

 そうすることできっと、日本の会社は働きやすくなって、楽しく働くことができる。それによって、子供が夢を持って働ける日本になる。そう私は信じている。

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