少し前の情報になりますが、今年の3月27日に障害者雇用率が未達成で企業名が公表された企業があるので、そのお知らせとそこから感じることを少し書いておこう。
今回企業名が公表されたのは、下記の企業である。
1 平成19年6月に公表猶予とした企業のうち企業名を公表することとした企業 :
日本ロレアル株式会社(東京都新宿区)
2 平成20年度特別指導対象企業のうち企業名を公表することとした企業 :
株式会社ナガワ(埼玉県さいたま市)
キャリアビジネス株式会社(東京都新宿区)
飛騨運輸株式会社(岐阜県高山市)
厚生労働省発表 平成21年3月27日
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/03/h0327-4.html
これを初めて知った方は、驚かれる方もいらっしゃるのではないだろうか。日本ロレアルという消費財メーカーが障害者の採用雇用率が達成されておらず、雇用率未達成企業ということで社名公表されているのである。
消費財メーカーと言えば、個人の動向を一番気にする企業であり、個人消費者が購買しなければ、会社として存続できない存在である。
しかし、しかしである。残念ながら「日本ロレアルが障害者雇用率が未達成」という事実を知っている人がどれくらいいるのだろうか。この資料が発表されても新聞にも載らないのだ。(これは新聞社も雇用率が達成できていないという理由があるとかないとか)障害者の雇用率が未達成でも、個人消費者に知られることはない。これでは、企業にとって全く影響がないということであり、雇用率を達成しようと考える企業は少ないのではないだろうか。(後日記事を書こうと思うが、障害者雇用は各企業の倫理感で支えられている)
実際に私が担当している企業の人事は、「不買運動とか起こってないの?新聞にも載らなくて、消費者に何の影響もない。一生懸命、採用活動をしている自分たちがバカみたいに思えてくる。ハローワークは何をやってんだ!」と仰っていた。
雇用率未達成で企業名が公表されるのは、最低期間でも6年は掛かる。正直、企業名を公表される基準は、障害者を多少でも採用する気があればクリアできるものである。(詳しく知りたい方はこちら(PDF)をご覧下さい)一生懸命採用活動を行っている正直者がバカを見て、未達成でものほほんとしていられる制度はいかがなものだろうか。
つまり、「障害者雇用」という法律や存在がまだまだ企業や個人にとって、他人事なのである。それは、「できれば関わりたくない」「障害者=できない」「できれば雇用したくない」という感情が企業も個人にもあるのではないか。
もちろん、ハローワークだけではなく、我々GPが厚生労働省に対して、しっかりこの状況を伝えていかなくてはいけないのだが、できていないことも問題である。企業や個人にとって、障害者雇用の重要性を伝えていく必要がある。我々は、現場の声をしっかりお上に伝えていかなくてはいけないのだ。
「障害者雇用」の価値を考え、重要性を訴え続ける。我々はそんな存在であるべきことを忘れてはいけない。
※6/30追加:何を伝えたいかがよくわからなかったので、一部加筆・修正をいたしました。
はい。ここに記載されている日本ロレアルの社員でございます。
弊社は【のほほん】としておらず、この事態を重く受け止め、プロジェクトチームを作り、構想2年でやっと本年6月1日に障害者雇用促進の為の小さな工場を立ち上げました。
実際の処、これまでも障害者の雇用は力を入れていたのですが、いかんせん、業務内容がマッチしておらず、採用しては退職されという、悪循環で定着しないという状況が長年続いておりました。
今回の措置で、同業他社に学び、雇用の安定を第一に新たな職種を作りました。
まだ1カ月もたたないのですが、担当者としては、お互い(社員と会社)に満足のいくスタートがきれていると自負しております。
障害者雇用といえども、一企業内では、一人一人が確かな戦力でなければなりません。
個人の能力差があるのは健常者と呼ばれる私達も障害者も同じ事。
マッチした職種ならば、その能力は同等であるはずです。
今、工場の生産性は、開始からたったの1カ月で同等以上のものが数字として証明されています。
ちなみに、従業員6人中4人が重度知的障碍+自閉症、2人が軽度知的障碍でそのうち1人が自閉症です。
私の処では、何の問題も現在ありません。
働く喜びの原点を今、感覚として感じています。
コメントありがとうございます。
また、工場の立ち上げ、誠におめでとうございます。
益々、障害のある方の採用が進むことを期待しております。